自作塗装ブース[2] 箱の素材選択

ファンの選定が終わったので、次は塗装ブース本体の箱をどうするかの段階になります。

箱の材料について

自作塗装ブースというと衣装ケースを使う方がほとんどで、その次にファンにそのままプラダンやダンボールで囲いをつけるだけの方、次に全体を自作という感じで、いきなり一番高いハードルに飛び込んだことになりますが、上部吸い上げ式にしたのでこれはもうしょうがないところです。

素材はコストを考えるとシナランバー合板、MDFの2択でMDFに。上にファンが載ること、ボンドのみの接着仕上げにすることから、ファンの重さ次第で12mmもしくは15mm厚に構造の補強をいれる事にしました(9mm/12mmでもいけたんじゃないかという気もしますが…)

板材の加工はホームセンターを検討していましたが、自分の移動コストを考えると送料を払ってもネットで加工を含め良さそうな木材屋さんにお願いする事にしました。

okamoku (岡元木材株式会社)さん(楽天市場店)

とても素晴らしい精度で切り出していただいた上、丁寧な梱包、木材一つづつにメモをそえていただいており、心のこもった仕事をしていただきました。

momo
momo

 超オススメです! 

箱の構造(排気設計)

塗装ブース、ようは「できるだけスムーズに狙った空間の塗装ミスト・溶剤を引き込んで」「パワーロスを少なく排出する」という2つの機能という感じでしょうか。

最強と名高いネロブース、数々の自作ブース。市販のブース。いろいろなものを見て回りました。

それらを元に「粉遊び」というiOSの物理シミュレータを使って遊んでみたところ、ネロブースはとても効率的な動きをします。整流板で真正面への吹き返しはそもそも少なく、上下に分けられた吸い込み口へ強力な吸い込み力によりガンガン吸い込まれます。

しかし、中間ダクトファンをそのまま立ち上げる構造は設置できないですし、同じものを作るなら買った方が早い。(だいたいの方はこの結論だと思います)

一方で、後部にファンを縦に設置する型(多くの自作タイプ)は、ブース内部の箱の角の部分、ファンが吸い出す穴のから角に向かうエリアに停滞する気流が生まれます。

これは吸い込みのパワーを上げても余り変わらず、これは開口部の正面からはいる流速の速い吸い込みと、角の部分に速度差が生まれてしまうからかな?と考えています。

また、ファンの径に対して作業面積を広げてしまうと、ファンの開口部(スイートスポット)から離れた場所では吹き返しが起きやすくなるというデメリットもあります。これは市販の塗装ブースでもおきる現象のようです。

スイートスポットの吸引力は高いので「パワーのあるファンを用いて、吸気ファンに向けてすぼめていくラッパ型筐体」というのは一つの解で、実際にレッドサイクロンLはそういった形ですね。

結局、快適な作業のためには広い開口部が必要で、開口部をつけると吹き返しの対策のために誘導板が必要。とすると、ファンを奥に設置する形は「ファン→フィルタ→ラッパ状整流エリア→プレフィルタ→フード」という5つを直線上に配置することから、奥行きがかなり厳しくなり、ラッパ状の整流板が作れるか?という問題にあたりました。

もちろん、問題なく使ってる方もおおいわけで「解って使ってれば問題ない」というものでもあります。

実は下方吸気式というのも一つの方法ではないかな?と考えていて、コンパクトながら排気力の高い二重反転ファンを複数仕込んで下方に推し出したり、ファンをブース本体には取り付けず、ダクトをつないでブースとは別の場所に吸気ユニットを作る等して、重いミストを下に吸い込む事は理にかなってるかなと思います。

静圧の強い山洋電機の二重反転ファン4気筒とか楽しそうですが、車でいうエキマニの設計(4ー2ー1か4ー2か)の排気パーツの製造に3Dプリンタがほぼ必須になりますね。

話題がそれましたが、上部吸い出し型にしたのは作業スペース(フードによって覆われた空間)を作っても奥行きが伸びにくい。吹き返しを防ぐための整流板を作れるというメリットがあることですね。

一方で空間が増える分の吸引力は必要とすること、吸い上げるという形のロスがあることから、特にフィルタ以降の気室はできるだけ小さくする事を考えないといけません。

そこで、メンテナンス性、改修、自分の工作スキルなどを考えるとネロブースの「斜めの整流板を固定で取り付ける」構造はやや難しいと判断。定番のクレオススーパーブースフィルタを仕込み、整流板で押し上げる形(あららさんの13式に近い構造)にすることとしました。

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