釣りのほうでも書きましたが、レザークラフトの本家はこちらなのでこちらでも記事化。
こちらでは製作記録についてです。
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制作記録
コンセプト
シュっとしまっておいて、ウエストバッグに取り付け可能。ベルトとDカン。落下防止用のピンオンリールを取り付けできる
材料
革(〜1.5mm厚くらい)のどこのご家庭にもある革。A4版1枚の2/3くらい。
ダイワ・ピンオンリール(100cm)
Dカン、リベット、ホック等
寸法出し
細かく採寸転記するのは面倒なので、フォーセップをマルチプリンタに載せて原寸スキャンします。
台に平らにおけるものであればおおむね実寸でとれますので便利。
それをそのままAffinity Designerに貼り付けて、まずはA4原寸出力してデザインを決めます。
デザイン
スキャンした紙にいろいろ書いてみます。その時に使う金具のサイズなどを予め測っておいて幅の矛盾はないように。
デザイン案としては「全体カバーするケース型2案(左右対称・左右非対称)」「持ち手カバーなしの鞘型」の3つをざっくり。
落下防止はスパイラルコードやリーシュコードでも問題ないのですが、スパイラルコードは案外ラインがからんだり、ブラブラするとめんどくさいのでピンオンリール仕様。
ピンオンリールは位置は引き出しを考えてハンドルより下に。ダイワのピンオンリールは回転機能がついているので引き出すときはケーブルが上側に、伸ばすときはリール本体が回ってくれるので引き抜く→伸ばすがスムーズ。これが見た目スマートな上についていると引き抜くときに邪魔になります。
写真にある赤いピンオンリールは手持ちの45cmモデルですが45cmだと若干作業性が悪そうなので100cmに。結果二回りくらい大きくなったけどしょうがなし
これは「長いので、引き抜くのに上にあると邪魔になる、邪魔にならない位置にするとケース自体が大きくせざるを得なくなる」という点から、全体カバー型だともっさりするなあと思って鞘型にしました。
ただし、鞘型だとハンドル部分が剥き出しになるので、ハンドル部分にも巻革してカバーにしました。
作図
Affinity Designerでスキャン画像の垂直をとって、その上に裁断・菱目・ポンチなど全部の設計図を作成。こんな感じで全部作ってしまいます。
レザークラフト的には邪道な感じですが、個人的にはこのタイミングで全部作図してしまうことで、逆に作図・紙試作段階でわかるトラブルが減らせますし、革に作業ラインなどを引かなくてもよいですし、制作が楽になるので菱目の位置まで全部指定してしまいます。
最終調整前はこんな感じで、図面上の最終調整、その場合わせの調整などは反映してない図です。がんばればここからでも作れますので参考にしたい人はどうぞ。
今回、特にギリギリの寸法を攻める事にしたので、特に立体のサイズ出しは紙ベースで入念にチェック。
鞘型にするとなると立体の作り上げになりますが、ギリギリのサイズの平面からオイルか水入れで立体押しだしで最終的に仕上げる事を念頭に、アッパーとベースでの微妙な寸法差と厚みの差でアッパー側が押し拡がるため、アッパーの寸法を調整はほぼ直感といった感じ。
意外と革は伸びるので大丈夫な…はず…。
制作からフィッティング
革に型紙を弱粘着性両面テープで貼り付けて切り出し。
目打ち、ポンチなどの処理をして型紙を外し、あとはアッパーとベースにわけてあんなことやこんなことをして、最後に全部のパーツをあわせて縫い上げました。
ベース製作完了からオイルアップと馴染ませてのフォーミング
しかし、設計上完全フィットなので、むしろ前面のホックはなくても大丈夫な仕上がりになっていました。デザイン上はかわいいんですが、引き抜くときに金具の出っ張りがちょっと邪魔。革の重ねの部分なので、金具のサイズでくりぬくという手もなくはないのをあとで思い付いたりはしましたが。
力入れて差し込むくらいの完全フィット。ピチピチのタイツなみ。
ここでウェットフォーミング的な技法で革を伸ばしてやります…が、今回はどのみち耐水性を持たせるためにかなり強くオイルを入れる予定だったので、ハナからオイルをたっぷり含ませて成形します。
オイルはマスタングペースト、いわゆるホースオイルで、よく馴染む上、落ち着くとサラっとするので革製品のメンテナンスオイルとしてもとても重宝してます。
これを2回ほど繰り返したところ、フォーミングが成功して「その形」に革が馴染みました。そうすると締めつける力はなくなるので、適度にフィットはするものの抜けにくい、ちょうどいい仕上がりに。
ふと思い立ってひさびさに製作。試作からそのまま作り上げちゃったので、コバ処理あたりは簡略化しちゃったところもあって、仕上がりで見るとちょっと気になる点もありますが、縫い目に荒っぽいところはありますが、まあまあよい仕上がりでできたかなぁと思います。