Twitter離れができつつあるmomoです。今は釣り関連でどうしてもそこにしかない僅かな情報だけリストにして見てますがそれだけです。
先日、2億年ぶりに「フォロー中」を流し見したら、タイムライン…? 何これ…? RT後言及とかしたら最早意味不明をまき散らしてるだけ…? みたいな気持ちになり、そっ閉じしました。
みんな元気かな。元気だといいな。
さて、fediverseの世界にいても当然ニュースサイトを見ているのでtwitterの話題は流れてくるわけでして、そこで「Twitter Blueのユーザに広告収入の一部を分配」というニュースを見ました。
このニュース、ちょっと気になる点がいろいろあったので書いておきます。
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なお、大前提として
大前提なんですが、私はFediverseの世界に身を投げ込みましたが、一方で、中央集権のマイクロブログSNSプラットフォームはあったほうがいいと思ってます。
それはある程度情報が集約し、いわゆるマジョリティ層への情報到達がよりEasyな媒体というのは、それだけで存在価値はあると思ってるからなんですね。もちろん弊害はありますが…。
そしてこれは今のようなTiktokやYoutube、動画や写真系SNSでは代替が効きませんし、本当ならActivityPUBの仕組みの上にそれができたらいいなとは思いますが、なかなか難しい点もあります。
なので「つぶれろww」みたいな話ではありませんので、悪しからず。
概要としては本当に概要しかないのですが…
記事によると、Blueのユーザのインプレッションに応じて(内容は不明)分配するシステムを考えてるとのこと。
これ自体はYoutubeのショートやTikTokなどで導入済みのシステムに近い、とのことで、Tiktokは上位ユーザのみ50%分配。Youtubeは分配可能な広告収益をインプレッションに合わせて分配する形のようで、既にある仕組みのようですね。
Twitter Blueがどちらになるか、どういった仕組みでやるかは不明ですが、現状としてツイート後の広告にクオリティフィルタなどはかかっていないな、というのは感じておりますので、どちらかといえばYoutubeに近い形になるのではないかと推測できます。
デジタル広告業界は厳しいネ
デジタルに限らないんですけど、そもそも広告は景気にメチャクチャ左右されます。2022年については色々あった結果(雑)、こと広告に依存する、meta、google(alphabet)はかなり苦戦しています。
全体成長率もマイナス成長ではないものの、既に今後の1桁%台の見通しが立っており、サービス事で考えると大手サービスであってもそろそろ通期マイナスは紙一重かなと思います。
つまり媒体に対していわゆる「選択と集中」や「リバランス」がおきる可能性は高いということです。今後、より効率的にリーチするところに厚みを増し、非効率な媒体は引き下げる傾向は強まっていくと思います。
そして、ことネット広告に依存した媒体、その売り上げの多くをいわゆる「フリーミアム」で成長を狙う企業にとって、大口の広告主の動向一つによってより大きく影響されるといっていいかと思います。
そういった中で、大口広告主の出稿というのがかなり大きな影響力を持つと言うことを示してくれたのが「Twitterのイーロン事変」です。
Twitterを取り巻く広告と売り上げの状況
(素人調査なので話半分くらいでお願いします)
長い文章は結論から書け、ということで結論としては「うわ…きっつ…」です。
こちらの記事(Forbes/Yahoo JAPAN)によると
2021年の同社の総収入は50億8000万ドル(約6700億円)だったが、そのうち広告が45億1000万ドルを占めていた。
と、あります。ざっくり9割は広告収入に依存している企業です。通期ではないとはいえ、それが半減したというのはかなりダメージの大きな話ですね。
また、同記事では次のような指摘もあり
ツイッターの広告売上の減少は、昨年夏以降に顕著になり、前年比での減少幅は10月がマイナス12%、9月がマイナス15%、8月がマイナス5%だった。他の広告プラットフォームも、マクロ経済の悪化の中で売上を減少させたが、企業のマーケティング担当者は、ツイッターの大規模なレイオフがオペレーションに与える影響を懸念し、偽情報やヘイト的な投稿がブランドを毀損することを懸念している。
その他にも「リーチ率が悪い」「未熟なターゲット機能」という指摘もあります。
実際、ツイッターで流れてきた基本的な広告の大半は「広告として興味すらない広告」である事が多く、私個人はそういったアカウントについてはかなりの頻度でアカウントそのものをブロックしていました。フィルタを自分でかける実にありがたい(?)ユーザですが、それでも真面なターゲッティングにはなり得なかったと感じるところです。
個別のプロモーションツイートについても同様で、まるで街頭で大声で流すだけの広告だなと感じたこともあります。
つまりはざっくりいうと「元々、その相対的にクオリティの低い広告媒体であるツイッターからの金離れが始まりつつあるところに、イーロンという存在が出たことで大手を振って他の媒体に広告費を移された(奪われた)」というのが概ねの状況にあるのかなーと思います。
それはいろいろな情報を加味した単純な事実でしかなく、そのあまりの減少から大幅にディスカウントをして出稿を取り戻すキャンペーンも打っているようです。
とはいえ、元々イーロンは広告は2028年には45億→164億の水準に純増すると考えていて、Forbesの記事では“2028年までに売上を264億ドルに引き上げ、そのうち100億ドルがサブスクリプション収入になると予測”しているとのこと。
これを踏まえても、イーロンがその戦略において、広告収入については極めて楽観的な見通しを持っており、ましてや自分が買収した後、大幅な広告主の離脱や広告収入の減少は微塵も考えていなかったと推測することができます。
さて、その広告部門も成長を前提にしていますが、2021年の45億ドルを基準として、〜2028の7年で常に前年度比20%の成長を要求する水準となります。
ちなみに業界の成長見込みは2023年以降、全体としてみると1桁%台に鈍化すると見込まれているので、他の媒体から多くの広告予算を奪い取れる、ということが前提にあるようです。
そもそも「Twitterはユーザ課金だけでなんとかなる(する)」とは思っておらず、先の売り上げ見通しから、収益の直間比率を現状1:9のところを2:3くらいまでにしたい、という意図が見えます。
サブスクリプションが100億ドル、当初提示していた1ユーザあたり月間20ドル、年間240ドルを念頭に入れているとして、4000万ユーザのBlue課金が必要になります。
Youtubeのプレミアム契約率などから考えると、最低でも10億人程度のアクティブユーザは必要になるかなという印象ですが、現状のサービス戦略はほぼ「Blueにしない限り自由はない/Blueにしたらいろいろあるよ」という方向に動いているため、そもそも現状2億ユーザほどのアクティブユーザのユーザ数が増加するのか、思ったように課金するのか、そのあたりかなり見通しに不明なところがあるように思います。
ブランドと広告とプラットフォームと
いつも感じている貴方へと向かって〜♪
差別、ヘイトスピーチなどに対して、それを行う、容認する場所に広告を出すことは、むしろブランドを毀損すると考えられている時代です。
大口のブランドにとって、既に「認知」はされているものであり、その上でそれをどう美しく拡大していくかがテーマであるというのが当然の流れにあると思います。
例えば、昨今、差別、ヘイトスピーチ等に関連して広告や契約サポートを切り上げるケースは誰でも目にしたことはあるかと思います。
また、少し前になりますが「アダルトサイトや違法サイト、その他、問題を抱えたサイトに一般的な企業がランダムバナーで表示され、その企業へ問い合わせに追われるなど、ランダムバナー広告への出稿が問題となった」ケースもあります。
そしてイーロン就任後に「Twitterから大口の広告主が離脱した」という点は、それについてかなり着目に値する事例と思います。
共通している点としては「その広告のイメージはそのサイトによって影響を受け、企業広告と表示サイト(プラットフォーム)には関係性を問われる」ということです。
ブランドを毀損するようなサイトに広告を出す事自体が企業のブランドを毀損し、ユーザからの不信任を受ける可能性をもつ。
これが今の時流ということになりますし、そのブランドのストーリーを重視する。そういったユーザが増えている、求められるということだと思います。
つまり、一定の認知されているブランドにとって、プラットフォームは「頼んで載せてもらうところ」ではなく「自分達にメリットがあるなら載せてあげるところ」なのです。
そして本題であるTwitter Blueと広告の話
さて、本題に入ります。
このBlueの広告費分配については、現状のTwitterの差別/ヘイトスピーチに対する「実際の」ポリシーによって、むしろ首を絞める可能性があるのではないかと考えられます。
Twitter Blueの広告分配の狙いは「ごく一部以外それに該当しないにもかかわらず、広告収益を得られるならBlueと契約しようという、マトモにそろばんの弾けない金欲ユーザによる(短期的な)契約増」である事はいうまでもないでしょう。
ただし、ユーザから見た場合、Blueの広告収益について、その運用分配率は不明ですし、当然配分比率を高めれば本体収益は下がりますので、いわずもがな…です。
もっとも、収益において、ユーザからの直接収入、サブスクリプションが必要なことは異論はありません。むしろこれについてはTwitterは判断が数年遅すぎたといっていいかと思います。よりもっとユーザマネタイズを意識した戦略を、別のサービスから付加価値となるアイディアをインスパイアして導入すべきでした。
しかし問題はそこではなく、この機能を導入することで、先に述べた「コンテンツと広告」に関連した問題が起きます。
TLを流れている限りは、まだぎりぎり「それは個別のツイートと関連しない」と言い切ることは可能です。
しかし、現在ある、そしてBlueの対象ともなる個別ツイート広告はどうでしょう。
本来、バズったツイートの下に表示される広告というのは表示回数も多くなり、価値の高い広告枠であることは間違いないのですが、一方で、バズりやすいツイートの傾向として、攻撃性の高いツイート、差別やヘイトスピーチ、人を騙すもの、盗用したツイート…etc あまり広告と相性がよくないケースがあります。
楽しいツイートならよいかもしれません。しかし、そのようなツイートの下に広告がでてしまったらどうなるか。。
「そのツイートとその広告が一体」と見なされる、ブランドとそのヘイトのイメージがリンクしてしまう可能性が十分にあります。
そして、大口の広告主にとっては「ヘイトスピーチの下に自分のブランドが表示される」という明確なリスクが発生し、Twitterに広告を出稿することそのものを検討に値しないものと見なす可能性が出ます。
しかし、Blueの場合さらに「広告収益を分配する」としています。
つまり、それらの「問題のあるツイート」に対して報酬が出る、その原資は不味いことに明確に広告主のお金としています。
酷いヘイトツイートの下に表示される広告を見たユーザから、企業に問い合わせる事案も起きるでしょう。
「おまえの企業は、売り上げでこんなツイートに広告(費)を出しているのか」 と。
それはまさに過去にあった「コンテンツとランダムバナーの問題」と類似しています。
この戦術は短期的にはBlueの収益を引き上げるかもしれませんが、1年もしたら「収益力がない」ことを露呈し解約に繋がることでしょう。一方で、Twitterのブランドに致命的なダメージを与える可能性を秘めていると感じています。
もし、この戦術を用いられる条件があるとするならば、「実効的に」差別やヘイトツイート、そしてそれを繰り返すユーザを排除していくこと。その体制を口先だけでなく、人的組織として再構築することは最低限必要になるかと思います。
それが広告主との「信頼」をつなぎ直す行動ではないかと思います。
フリーミアムの世界において、また、フリーミアムになれきったユーザを抱えなければスケールしない世界において、広告主に害するようなこの戦術は、長期的な戦略と強く相反します。
無論、イーロンにとっては「一刻も早くバランスシートを改善し、ファンドに売り抜けること」が戦略目標であり、Twitterの将来などどうでもいいのかもしませんが。